大阪高裁も不当判決!法廷で抗議炸裂!最高裁へ上告します

報告:浅野健一さん(同志社大学大学院社会学研究科/メディア学専攻博士後期課程教授)

 人民新聞・山田洋一編集長が神戸地裁の不当判決を不服として控訴した事件で、大阪高裁(樋口裕晃裁判長、佐藤洋幸・柴田厚司両裁判官)は12月11日午後3時15分から、高裁201号法廷で判決を言い渡しました。一審判決を正当化し、控訴を棄却する悪質な判決でした。
 午後2時50分に傍聴人が入廷した時、既に裁判官、書記官、検事が着席していました。約50人の支援者は法廷内で「山田洋一さんは無罪」の横断幕を掲げ、「樋口はやめろ」「裁判無罪」とコールを繰り返し、いつ裁判が始まったかも分からない状態でした。コールは20分以上続き、樋口裁判長はおどおどしながら、傍聴席の一列目にいた木村真・豊中市議に「退廷命令」を出し、抵抗する木村さんを宙吊りにして職員8人で強制排除しました。非暴力の市民を暴力的に外に運び出すのは、民主主義国ではあり得あにことです。傍聴人は次々に「退廷命令」が出され、退廷された傍聴者は6人に上りました。
 裁判長は大阪府警本部長に警官の法廷への「派出」を要請、機動隊の制服警官6人が法廷に内に入り、傍聴人は「警官は帰れ」「司法の独立はどこへいった」と抗議しました。
 樋口裁判長は3時15分ごろ、コールが続く中、「今から判決を言い渡します」と述べ、判決要旨を読み上げました。樋口裁判長が強調したのは、山田さんが友人に預けたカードの使い方が「新生銀行の規定に違反している」ということでした。犯罪に使われなくても、形式的に規則に反する行為があれば犯罪になるというのです。カードの使用目的が、生活費、医療費であっても詐欺罪になるというのです。もし、銀行の規則に反するなら、銀行と山田さんの間で解決すればいいことで、刑事事件にする必要は全くありません。
 樋口裁判長が判決要旨を読み上げている際、橋本太地弁護士が「何が違法なのか」と聞く場面もありました。裁判長は「判決理由を聞いてください」と答えていました。
判決後、大阪弁護士会館で報告集会が開かれ、山田さんは「想像を超えた事態になった。面白い裁判だった。有罪になり、判決要旨には納得できないが、みんなで抗議できたのはよかった。裁判官たちは、前回の訴訟指揮がいかにひどかったのが分かったのではないか。最高裁へ控訴する」と表明しました。
 人民新聞編集部の園良太さんは「弾圧をはねのけ、新聞の応援読者が増え、山田さんと元気で一緒に仕事ができているだけで、勝利だ」と述べました。救援会のメンバーは「何が詐欺か分からない。銀行に被害を与えたというが、どんな被害があったというのか。日常的な生活の行為そのものが犯罪にされる恐ろしい時代だ」「前回、脱力感を持った。何も言ってもだめだと思った。今日のような方法があるのだとわかってよかった。今後、どうやったらいいか学習会を重ねたい」と話しました。
 高裁は11月13日の初公判で一回結審を決定し、抗議した傍聴者に退廷を命じました。山田さんの被告人陳述も認めず、「12月11日15時に判決」とだけ言って閉廷しました。実質的な被害者が存在せず、被害金額もゼロに等しい「詐欺」事件なのに、二審で実質的審理なしの判決です。
 人民新聞社は山田さんの逮捕の際の新聞社への捜索について、国賠訴訟を起こしており、11月28日に第1回口頭弁論が開かれました。
 山田さんの逮捕後、「日本赤軍に資金協力」という捏造情報を流し続ける神戸新聞、逮捕時に過去の捜索映像を流したMBSの報道犯罪も許してはなりません。
 記者クラブメディアが、今日の法廷の模様をどう報道するかどうかも注目です。おそらく無視でしょう。

詐欺被告事件

被告人 山 田 洋 一

還付申立書

平成30年12月28日

神戸地方検察庁 石飛大輔 検察官 殿

同    多田征史 検察官 殿

弁護人 橋 本 太 地

被告人の頭書事件について,下記の証拠物を刑訴法123条1項2項,222条1項に基づいて直ちに還付されたい。

1 還付を求める証拠

被告人山田洋一所有のスマートフォン

USB(名簿用記載のもの)

2 理由

本件は既に起訴され,控訴審判決まで出ているところ,「留置の必要がない」(「こゝに[留置の必要性」の有無は、被疑事件として犯罪捜査の見地から、被告事件としては公訴維持のため当該事件の立証上必要であるか否かの立場より判断すべきであ」る(東京地裁昭和40年7月15日決定下級裁判所刑事裁判例集7巻7号1525頁))からである。

 なお,還付をすべき検察官について,裁判所は「検察官が保管の責めに任じている公判不提出の押収物については、押収及び還付等の処分の根拠及び手続等を規定する刑訴法その他これに基づく関係各法令の趣旨に照らし、事柄の性質上、押収の基礎となつた被告事件がどの裁判所に係属している場合であつても、特段の事情のない限り、現にその物の押収を継続している検察庁の検察官において還付等の必要な処分をすべき」としている(最高裁昭和58年4月28日決定判例時報1077号47頁)。

  よって,貴庁検察官において還付されたい。

                                 以上