本紙編集長逮捕 各界抗議メッセージ1 「赤軍派」の名を語った 不当弾圧に憤る

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重信房子 (元日本赤軍。八王子医療刑務所に拘留中)

人民新聞12月5日号を読んで、人民新聞社の活気、山田編集長の元気な声、そして「オリオンの会」の「11・21人民新聞社・岡本公三さん支援活動に対する不当弾圧への抗議声明」によって、私にも全体情況がよく判りました。
まず、かつての私たちの名を使った弾圧への憤りとともに、昔から「赤軍罪」にさらされてきた人民新聞社の方々に申し訳ない思いと連帯の思いでいます。今後も発動されるであろう、権力の「オリンピック対策」(20世紀の70年代のことなのに)や、「日本赤軍テロ組織狩り」に名を借りた、共謀罪の実質化は決して許せません。真の狙いは政府に異議申し立てをする人民新聞や市民運動を脅し、弾圧し、市民人民と離反させることにあるのは明白です。
そのために第一に、運動の情報センターである人民新聞社に狙いを定め、移転の時を奇貨として、地域社会から追放させる「やくざ狩り」の手法を用いて、住民を怖がらせるような大袈裟な捜査によって、何の関連もない新聞社を襲ったのでしょう。山田編集長に対する逮捕の口実は、何時でも誰でも当局が狙えば逮捕口実をつくりあげられることを示しました。
第二には、ありもしない「日本赤軍危険視」のフレームアップです。日本赤軍は半世紀近く前の武装活動の後、すでに解散し活動していません。岡本公三さんは85年「ジュネーブ条約」に基づく「捕虜交換」で国際赤十字が仲介し、20年前からレバノン政府の亡命許可の下で病気治療をしつつ平穏に暮らしています。
85年当時捕虜交換釈放でイスラエル政府に抗議した日本政府はアラブで笑いものでした。刑を終え亡命権を得て療養中の岡本さんの逮捕状をまず日本政府が取り下げることによって、アラブ諸国、人民への友好を示して然るべき事がらです。
この亡命者への人道的な生活支援を「オリオンの会」が行っていることを、あたかも「大事件」で、その「共謀者」のように編集長に対するフレームアップが行われています。
第三に、彼ら権力側の都合がありそうです。「テロ」事件などない中、予算獲得、若手警察官の教育、さらに公安の既得権を維持すべく、市民運動や良心的な反戦・平和を求める人々をテロと関連付けた人脈図を作り、弾圧のシナリオを捏造しているのです。今後「オリンピック治安」を口実に権威主義と管理社会化が猛烈に進む兆しが、11・21弾圧と言えるのではないでしょうか。
人民の中へ、人民と共に! 連帯します
60年代人民新聞(「新左翼」という当時の名称)創設を担った人たちは、当時の左翼の限界を教訓に、官僚主義を許さない運動を求めて「人民の中へ、人民とともに!」をモットーとしていました。山田編集長をはじめとする後継された方々は、この現場主義で闘う人々の声を常に報道してきました。
今、権力側が人民新聞を市民、地域住民から分断しようとしている中、逆にそれを許さない多くの方々の抗議と行動を胸熱くなる想いで注視しています。さらに「人民の中へ、人民とともに!」を進むみなさんに私も心から連帯しています。編集長の帰還を求め、新年さらに力一杯の前進を祈ります。   (12月13日)