神戸地方裁判所長 本多 俊雄 様
神戸地方裁判所裁判官 芦高源 西野牧子 神原浩 立仙星矢様
神戸地方検察庁検事正 髙﨑秀雄 様
神戸地方検察庁特別刑事部 福居幸一 様
人民新聞編集長の起訴取り消しと即時保釈を求める要求書
2017年12月27日
豊中市議会議員 木村 真
門真市議会議員 戸田ひさよし
●●(賛同議員募集)
人民新聞社
連絡先:人民新聞社
〒567-0815 大阪府茨木市竹橋町2-2-205
電話:072-697-8566 FAX:072-697-8567
●新体制作りを始めた矢先の弾圧
人民新聞社は1968年に創刊し、毎月3回発行しています。 日本中・世界中で権力とたたかう人々の声を伝えてきました。 この夏に大阪府茨木市に事務所を移転し、 世代交代と地域密着でより広い協力体制を作り、 編集体制の強化を進めていました。
その矢先の11月21日、 突然編集長の山田洋一氏が兵庫県警に不当逮捕され、 自宅と新聞社事務所が家宅捜索されました。容疑は「詐欺罪」で、 新聞社とは関係が無く、内容も不当そのものです。編集長は12月 11日に起訴され、 勾留した生田署は人民新聞や厚着の差入れを妨害してきました。 そして今身柄を移された神戸拘置所には、何と暖房がありません。 私たちは編集長の起訴取り下げ、即時保釈、 押収品の返還を求めます。
●事務所を包囲する異様な捜査
21日朝7時、尼崎市の編集長の自宅が家宅捜索され、 兵庫県警生田署に連行され逮捕されました。続けて9時ごろ、20 人以上の警察が茨木市の人民新聞社の事務所を包囲し、社員1名が 来ると家宅捜索を開始。こちらが各所に電話したり撮影・ 録音することを禁止し、社員は軟禁状態にされました。
後から来た社員には令状も見せず、立ち入りを妨害。 マンション入口に検問を張り、 出入りする他の住民全員に職務質問しました。 住民を怖がらせて移転した事務所を孤立させる狙いが明らかであり 、捜査の不当性が際立ちます。
●全てのパソコン・資料を押収する不当捜査
この結果、 新聞社は全てのパソコンと読者発送名簿も押収されました。 新聞発行に多大な影響が出ており、兵庫県警に断固抗議します。
報道では「自分名義の口座を他人に使わせていた」とありますが、 それだけで「最初から口座を騙し取った」と言い切り、 逮捕や家宅捜索まで行うのは明らかに不当です。 私たちは今回の逮捕・家宅捜索・起訴は、 人民新聞社の新体制へのあからさまな弾圧であると考えます。
●実質的な共謀罪の適用の可能性が
今回の件で東京でも警視庁が2箇所を家宅捜索し、 関係者に任意出頭を強要しており、弾圧の拡大が懸念されます。6 月に成立した稀代の悪法「共謀罪」は、犯罪の無い所に「 犯罪をした」と物語をでっち上げ、市民運動や報道機関を弾圧・ 萎縮させる目的です。
警察は、実質的な共謀罪の適用を始めたと考えます。
私たちは、弾圧には絶対に屈しません。新聞の発行を続け、 権力の不正を暴きます。そしてそのためには、 貴職らが編集長を起訴せずに即時釈放することが必要です。 本事件は実質的な被害者が存在せず、編集長は起訴に値せず、 起訴の取り下げと即時保釈をすべきです。
またこの国の刑事訴訟システムでは、 起訴されると多くが初公判まで数カ月間も勾留されます。 つまり本人の人権と新聞社の機能が数ヶ月も間停止させられること になります。それは報道・ 表現の自由を大きく侵害する憲法違反です。
●神戸地検の異常な保釈請求却下「意見書」は許されない
弁護団の保釈請求に対し、 神戸地検は編集長と支援者を中傷する前代未聞の意見書を出しまし た。その問題点は、
①本件は「(プラスチック製のモノとしての) キャッシュカード二枚を詐取した疑い」のはずなのに、 岡本公三氏とのつながりのことばかり書いて保釈を拒否しています 。検察が自ら「別件逮捕」だと認めているに等しいものです。
②また、仮に岡本さん支援のためだとしても、 自身がそのつもりでカードを作ったのなら、 勾留理由開示公判で本人が語った通り、「自分で管理している」 のだから、「他人に使用させる目的」ではないことは明らかです。
③検察は、「 人民新聞社社員及び支援者が本件を不当逮捕であると決め付け、 捜査段階から、 ホームページその他のソーシャルネットワークを使って、 捜査活動を批判したり、兵庫県警生田警察署及び当庁に押し掛け、 押収物の還付や被告人の早期釈放を求めて大音量での抗議活動を繰 返すなどしていることに鑑みると、 人民新聞社及びその従業員らが、今後、 公判における検察官の立証活動に対する妨害を企てる可能性も相当 程度認められる。」などと書いています。 しかし捜査の批判や抗議申入れは、 憲法で保証された表現の自由の行使であることは、 あまりにも当然です。 本件のように警察・ 検察が法を無視する別件逮捕を強行した場合はなおさらです。 神戸地検のこの意見は憲法違反の前代未聞の誹謗中傷であり、 裁判官に法を無視した印象操作を行うことで、 絶対に許されません。
④「被告人は人民新聞社の代表取締役であるとはいえ、 編集業務は、 パソコンがあれば潜伏先においても行うことも十分可能であり、 逃亡の足かせとはいい難い。」と書いていますが、ありえません。 検察官はパソコンだけがあれば逃亡しながら仕事ができるのでしょ うか。できる筈がありません。 会社に出て社員と直接相談や会議をし、 事務所にある書類などを整理し、 公に取材に出向いて人と会うことが通常の仕事、 特に編集長の仕事です。 漫画のような絵空事を理由にするのは許されません。
⑤黙秘していることを保釈却下の理由に挙げています。 これは憲法で保証された黙秘権の否定であり、 黙秘自体を懲罰化するものであり、絶対に許されません。
●神戸地裁は保釈請求を即刻認めよ
神戸地裁の芦高源裁判官らは、12月19日に弁護団の保釈請求を 却下し、準抗告も即日却下しました。 弁護士との面談すら行わない問答無用の強行判斷です。 一体なぜでしょうか。芦高氏らは「これまでの状況に照らすと、 被告人が関係者と共謀して第三者に働きかけるなどし、 罪体や重要な情状事実について罪証を隠滅すると疑うに足りる相当 な理由があると認められるため、保釈できない」 と無内容な事しか述べていません。まさか神戸地検の異常極まる「 誹謗中傷文書」を丸呑みしたのでしょうか。 この決定で一人の人間がさらに数カ月も拘禁され、 年末年始を寒さ極まる獄中で過ごすことの苦しみと憲法違反を全く わかっていないと言わざるをえません。 公安事件で繰り返される検察意見の丸呑みは、三権分立の死です。 裁判官は自らの頭で「本当に罪証隠滅をするのか・できるのか、 勾留の必要があるのか」と考え、「隠滅できない・しない・ 必要はない」と判断し、即時保釈するべきです。
よって、私たちは以下を要求します。
1:神戸地検は今すぐ起訴を取り下げよ。 また保釈請求を行った際の反対意見書を出すことをやめること。
2:神戸地裁は今すぐ保釈を認めること。
3:神戸地裁は、兵庫県警に、 押収した押収物を即時返却させることを決定すること。
以上